猫は自分で被毛をなめて毛づくろいしますが、飼い主もブラッシングしてあげる必要があります。
とくに毛の生え変わる季節のブラッシングは大切で、行うことにより、毛玉を吐くことや毛球症の予防をすることができます。
ブラッシングの効果
猫は毎日身体をなめて毛づくろいをしていますが、そのせいで大量の毛を飲みこんでいます。
猫がたまに毛玉を吐くのは、胃に溜まった毛を除去するためです。
胃につまった毛をうまく吐けなくなると、毛球症という病気になってしまいます。悪化すると開腹手術をしなくてはならない怖い病気です。
ブラッシングをすると、ムダ毛やフケを取り除くことができるため、毛玉を吐く回数を抑えることができ毛球症の予防にもなります。
とくに長毛種の猫は毛が長いせいで飲みこむ量が多く、舐めていても行き届かないために毛玉を作ってしまうことがあるので、最低でも一日に二回はブラッシングしてあげましょう。
また、ブラッシングをすると刺激で血行がよくなるという効果もあります。
身体全体をチェックすることができるので、異常を発見しやすく、病気や怪我の早期発見にも役立ちます。
ブラシの種類について
猫をブラッシングするのには、どのようなブラシが適しているのでしょうか。それそれの特徴を見てみましょう。
スリッカーブラシ
曲がった針金のようなものがついているブラシ。毛玉や毛の絡まりをとるために使います。
ドライヤーで濡れた毛を乾かすときなどにも使います。
一本一本が細く硬いので、力を入れすぎると皮膚を傷つけるため注意が必要です。どちらかといえば長毛種向きです。
ラバーブラシ
全体がゴムでできているため使いやすく、丸ごと洗えるので、初心者向きです。
ゴムが毛を吸着するため、いらない毛をごっそり取ることができますが、やりすぎるとはげてしまうので注意してください。
ブラッシングするとマッサージ効果もあります。手にはめて使うミトン型だと身体にそってとかしやすいです。どちらかというと短毛種向けになります。
ピンブラシ
針金の先が丸くなっているため、皮膚を傷つけることなく使うことができます。
毛のもつれや日々のブラッシングに適しています。どちらかというと長毛種向けです。
獣毛ブラシ
イノシシ、馬、豚など、さまざまな獣の毛を使用して作られています。
長さや硬さもそれぞれなので、飼っている猫に合わせて選びましょう。長毛種なら毛が硬く密度が濃くてしっかりブラッシングできるもの、短毛種ならやわらかい毛のものがおすすめです。
コーム
金属でできたクシ型のものです。
からまった毛玉をほぐしてあげたり、ノミを取ったりと重宝します。目が粗いものと細かいものが一緒になったタイプがおすすめです。
顔に使用するときなどは、怪我をさせないよう気をつけてください。
一口にブラッシング用のブラシといってもさまざまな種類があります。
もちろんすべてをそろえる必要はありません。猫の毛質にあわせて、2~3種類を使い分けるといいです。猫は強制されて長時間じっとしていることが嫌いです。
毛の流れにそってすばやくブラッシングして、まずは気持ちのいいものだと好きになるよう慣れさせましょう。
けっして力任せにゴシゴシこすらないようにしてください。
最低でも、短毛種は1日に1回、長毛種なら1日に2回のブラッシングが必要です。大変ですが、これによって猫とコミュニケーションが取れ、身体のチェックもできるので病気や怪我の早期発見にも役立ちます。
毎日ブラッシングすることで、血行がよくなり、毛玉を防ぐこともできます。慣れてきたら、健康チェックも一緒に行うといいですよ。
ブラッシングの仕方
ブラッシングに慣れていない子は、まずは手でやさしく撫でてやり、リラックスさせましょう。
緊張がほぐれ身体の力が抜けたら、毛の流れにそってやさしくブラッシングします。上から下へが基本です。頭の後ろや背中からやりはじめます。嫌がらなければお尻やお腹もブラッシングしましょう。
短毛種はラバーブラシ、長毛種はすりカーブラシとコームを使用するのがおすすめです。
長毛種の猫の場合、耳の後ろ、わきの下、お尻の周辺、腿の付け根は毛玉ができやすいので、細目のコームを使い念入りにブラッシングしましょう。
ブラッシング嫌いな猫の場合
中にはブラッシングされることを嫌がる猫もいます。そういう子は焦らずゆっくりブラッシングに慣れさせていきましょう。
まずは手で撫で、身体をすかれる感覚に慣れさせましょう。撫でられてリラックスしているときや、食べ物に集中しているときなどに、そっとブラシングしてブラシに慣れさせます。
壁にバターを塗って、舐めている隙にブラッシングするという方法もあります。
お腹や尻尾を触られるのを嫌がる子は多いです。
慣れるまでは、触られると喜びやすいあごの下や顔周り、背中だけをブラッシングしてあげましょう。
完全に慣れたら、徐々に苦手な部分にもチャレンジしていきます。どうしても嫌がる場合は、ブラシの種類を変えてみるというもの有効です。
ブラッシングは飼い主と猫のよいスキンシップにもなります。ぜひこまめにブラッシングしてあげてください。
猫の抜け毛が多くなるのは春と秋
自然の動物は季節によって毛や羽毛を変え、体温を調節しています。家の中で暮らすようにはなりましたが、猫もこれと同じ習性を残しています。
猫の毛が体温調節のために生え変わるのは春の終わりと秋の終わりです。ちょうど人間の衣替えと同じ時期ですね。
この時期は不要になった毛がごっそり抜けるので、初めて猫を飼った人の中には戸惑う人もいます。けれど、それは自然なことなので慌てる必要はありません。
むしろ抜けすぎて怖いと不要になった毛を身体につけたままにしていると、猫が身体を舐めた拍子に体内に取り込んでしまい、毛玉を吐く原因となるので、この時期は毎日積極的にブラッシングを行ってください。
短毛種の猫より、長毛種の猫のほうが念入りのブラッシングが必要となります。
体内に毛が溜まりすぎると毛球症という病気になってしまうので、ブラッシングとあわせて、猫草を食べさせたり、毛玉ケアのエサをあげるなどするといいでしょう。
オーバーコートとアンダーコート
よく観察しないとわかりずらいですが、猫の毛には2つの種類あります。太く硬いオーバーコートと、細くてやわらかいアンダーコートです。
オーバーコートはとても長く、身体の表面を覆って、水を弾いたり外界の刺激から身体を守る役目をしています。一方のアンダーコートは皮膚に近い場所にびっしり集まり、断熱の役目をはたしています。
換毛期に大量に取れるのはアンダーコートのほうです。とても細いため布や身体につきやすく、フワフワ舞いやすいため掃除が大変になります。
掃除をするときは、舞わせないようにスプレーで水をまいたりするといいでしょう。
病気が原因で毛が抜けている場合
猫はさまざまな病気が原因で脱毛します。これらは生え変わりの時期と関係なく起こります。
疥癬、ノミやダニ、アレルギー、栄養不足、ストレス、糖尿病、肉芽種などが主な原因です。
痒がる、湿疹ができている、毛が薄くなるほど猫が舐める、などの異常が見られたら、すぐに獣医さんの診察を受けましょう。
日頃から猫としっかり触れ合い、健康チェックをこまめにしていると、早期に発見することが可能です。
このように抜け毛が多くても、皮膚に異常がなく猫がいつも通り元気であれば、あまり心配する必要はありません。
とくに生え変わりの時期であれば、何度ブラッシングしても、ブラシが毛まみれになるというのが普通です。