生きている以上、猫もいつかは体調を崩すときが訪れます。大きな病の場合、悪化する前の早期発見が、その後の回復のカギとなることは少なくありません。
けれど、残念なことに、猫は自分が弱ったところを表面に出さないようにする習性があります。
健康なうちにデーターを取っておく
異変を察知するには、普段の状態をしっかり覚えておく必要があります。普段からたくさん触れ合い、正常な様子を頭の中に入れておくのはもちろんのこと、様々なデーターを記録しておきましょう。
そうすれは異変があったときにデーターと比べ、おかしなところをすぐに発見できます。
1.体重
猫を抱っこしたまま体重計に乗り、後で自分だけ乗ってその分を引いた重さを計算して出します。
急激に体重が落ちたときは、大きな病気にかかっていることがあるので、すぐに病院で検査をしてもらいましょう。
普段からこまめに体重を計っておけば、肥満予防にも役立ちます。
2.体温
ペット用の体温計で計測します。耳で測る体温計がおすすめですが、ない場合は尻尾を持ち上げて肛門に体温計を2~3センチ入れ計ってください。
猫の平熱は38~39℃くらいが正常で、39.5℃までが微熱、それ以上は熱があるとされています。けれど、体温が低めの猫が39,5℃だった場合は熱が出ているとみて間違いありません。
このように、個体によって微妙に差が出てくるものなので、普段の記録をとっておくことが大切なのです。
3.脈拍数
猫の後ろ足の付け根の内側上部には大きな動脈が走っています。そこに人差し指、中指、薬指を当てて脈拍を測りましょう。
1分間に何回脈を打っているのか数えます。30秒間数え、それを2倍にしてもOKです。
猫の脈拍は、一般的に1分間に100~150回なら正常だとされています。
猫の意識がなくなった場合、脈拍を測るのは大切なことです。しかし、素人がいきなり計ろうと思ってもなかなか上手くできるものではありません。そこで、普段から脈を計る練習をしておきましょう。
4.呼吸数
猫の胸あたりの動きを観察します。上下に動いて一回と数えます。1分間で何回呼吸しているのか数えてください。
一般的に猫は1分間に20~30回の呼吸をしていると正常だとされています。
呼吸が浅く何度も早く吸っていたり、吸いずらそうしているときは身体に異常があることがあります。
普段はどんな呼吸をしているのかよく見て覚えておきましょう。
飲食のチェック
猫の不調は、エサを食べる様子や水を飲む様子からも発見することができます。
水を飲みすぎる、ご飯を食べたがらない、嘔吐するなどしたときは注意が必要です。
とはいえ、猫は気まぐれで食が細い子も多いため、一回くらい食事をしなくても異常ではありません。
24時間たってもなにも食べなかった場合はなんらかのトラブルが身体の中で起こっている可能性があります。
また、食事はしても、食べにくそうにしているときは口内に問題が起こっていることがあります。
トイレのチェック
トイレの様子からも猫の健康状態がわかります。
トイレへ行く回数が増えた、軟便、便秘、血尿、使用後の猫砂がキラキラ光っている、粗相することが増えたなど、いつもと違う様子が見られたら病気である可能性があります。
特に猫は膀胱から尿道にかけての尿路に疾患を起こしやすい生き物です。
水を飲むのが嫌いな子や、オス猫はとくにこの疾患にかかりやすいので、毎日のチェックでは異変を見落とさないように目を光らせましょう。
動物病院で健康診断を受けよう
猫のことを思うなら、できれば毎年動物病院へ行って健康診断を受けてください。異常は早期に発見し、適切な治療をすることが寿命を伸ばす秘訣です。
では、猫の健康診断とはどんなことをするのでしょうか。
1.問診
獣医師と対面し、これまでの病歴、健康状態や気になることはないかなどヒアリングされます。
いつも通っている動物病院なら過去のカルテがありますが、ない場合はとくにしっかり話しましょう。
遠慮せず、気になっていることは隠さずすべて話してください。
2.身体検査
皮膚、目、耳、口内などを直接目で見て異常がないか確認します。
触診、聴診を行い、身体の内部にしこりができていないか、骨格やリンパの流れに異常がないか、心臓や肺で異常がないかなどを調べます。
3.血液検査
採血をして成分を調べ、身体の状態を調べます。貧血であるか、感染症の有無、栄養状態、臓器に異常がないか、ホルモンに異常がないかなどがわかります。
血液からどの項目をいくつ調べるかは病院によって違ってくるので、事前に確認しておいたほうがいいでしょう。
高齢になるほど身体に異常が出やすいため、年を取ったら項目は多めに受けておくことをおすすめします。
4.尿検査
試験紙や顕微鏡を使い、採取した尿から身体の状態を調べます。膀胱炎、尿結石、糖尿病、肝機能の状態などがわかります。
5.便検査
寄生虫が体内にいないか、腸内で出血などはしていないか、細菌の数は正常かなどを調べます。
6.レントゲン検査
腹部と胸部のレントゲンを撮ることで、内臓や骨に異常がないか調べます。
7.心電図検査
心電図を使い、心臓の動きに異常はないか確認します。
8.超音波検査
レントゲン検査では発見しにくい臓器の異常を調べます。
他には、甲状腺ホルモンの検査、関節検査、眼科検査、アレルギー検査などがあります。一口に健康診断といっても、病院によって内容はさまざまです。
中にはオプションとして希望する検査を追加できるところもあります。
健康診断をはじめてうけるなら、まずはその動物病院ではどんなことをするのか確認しましょう。
6割は毎年健康診断を受けている
アニコム損害保険会社がペットを飼っている人にアンケートを実施したところ、60.9%の人が「年に一度はペットを受診させる」と答えました。
もはや、ペットも人間と同じように毎年きちんと健康診断を受ける時代となっているのです。
ペットは家族と考える人が増え、できるだけ長生きしてもらいたいと思っているからでしょう。
病院でどの健康診断を受けさせましたかという問いには、身体検査と血液検査が共に7割を超え、次いで糞便検査、尿検査、レントゲン検査と続きました。
また、健康診断を行った結果、異常が発見されたと答えた人は37%にも上りました。
このように、目には見えなくとも、ひそかに異常が起こっていることは少なくありません。どんなに普段の生活で健康に気を使っていても、身体の異常を完全になくすことはできないのです。
ぜひ健康診断は毎年行い、少しでも猫に長生きしてもらいましょう。