愛らしい仕草や姿でわたしたちを癒してくれる猫。ついキスしたくなってしまうというのも頷けます。
けれど、ちょっと待てください。その行為、じつはとても危険なのです。
ペット経由で感染する人が増えている
近年、飼っているペットから感染症をもらってしまう事例が増えてきています。
というもの、以前より人間とペットとの距離がグッと近づいてきたせいです。
室内で飼うことが当たり前になり、濃厚な接触をする機会も増えました。
しかし、動物から人間にうつる「人獣共通感染症」は、現在300種類ほど確認されています。
いくら可愛くても、過剰な接触には気をつけねばなりません。
猫から感染する病気
1.カプトサイトファーガ感染症
カプトサイトファーガというのは猫の口内にいる常在菌です。猫の86%はこの菌を保有していると言われています。
猫には無害な細菌ですが、人間が感染した場合、発熱、腹痛、吐き気、倦怠感などが起こり、重症化すると髄膜炎や敗血症を起こしてときに死に至ります。
日本では8年間のうちに犬や猫から14人が感染し、そのうちの6人が死亡しました。
2.パスツレラ感染症
パスツレラ菌も猫の口内にいる常在菌です。しかも、なんと100%猫はこの菌を保菌しています。
引っかかれたり、噛まれたり、舐められることで人間にも感染します。傷つけられた場所が赤く腫れ上がり、化膿して痛むことが多いです。
ときに呼吸器系の疾患や骨髄炎敗血症などになり、稀に死亡するケースも確認されています。
免疫力が衰えている、糖尿病患者や高齢者はとくに重症化しやすいです。
3.トキソプラズマ症
猫の排泄物から感染する病気です。健康な人間が感染した場合はほとんどなんの症状も起こりませんが、まれにリンパ節が腫れたり、風邪のような症状が出ることがあります。
妊婦が感染してしまった場合、生まれてくる子に障害が残ったり、流産の原因となることがあります。
最近では、妊婦にトキソプラズマ検査をすすめる病院が増えてきました。妊娠前にすでに感染していた場合は、赤ちゃんに影響がありません。
猫から病気をもらわないようにするには
- 過剰な接触は避ける。
- 食器は人間と猫のものをわけて洗う。
- こまめに爪を切る。
- 触ったら手を洗う。
- 猫を清潔に保ち、ノミやダニを駆除する。
- トイレはこまめに掃除し、猫砂や排泄物は適切に処理する。
以上のことを守れば、人獣共通感染症にかかることなく、安心して猫を飼うことができます。
距離を間違えなければ、猫から人間に病気がうつることはないので、過剰に怯える必要はありません。
適切な距離を守って、これからも猫ちゃんを可愛がってあげてください。